ごあいさつ
さっぽろ児童版画コンクールは、地元の小売業の集まりである協同組合日専連札幌が市内小学校に作品の出品をお声がけし開催をしております。
これまでに、札幌市長賞、教育長賞、また全国児童版画コンクールに選出した作品からは文部科学大臣賞を筆頭に各賞が選ばれております。入選された皆様には、心よりお祝い申し上げます。
今年で第32回開催を迎え、応募総数1,078点と多数の作品が集まりました。ご協力いただいております札幌市、札幌市教育委員会やご協賛いただいた企業様、そして市内小学校とその指導を担っていただいた皆様には、心より感謝申し上げます。
これからも、素晴らしい子供たちの版画作品を応援してまいりますので、皆様の温かいご支援をお願いいたします。
協同組合 日専連札幌
理事長 岩井 久
作品講評
伝統ある「第32回さっぽろ児童版画コンクール」に今年もたくさんの素敵な作品が集まりました。これらの力作から、審査の過程できらりと光り、目を惹きつけたのがここに展示された作品です。皆さんには、今回受賞したことで、自分の表現に自信をもってまた新しい作品に取り組んでいただきたいと思います。
さて、作品を審査するにあたり、特に次の3点を重視しながら、1点1点をじっくりと見ていきました。
1点目は テーマとなる人・もの・出来事などへの感動や作者の思いが伝わってくる作品であることです。
2点目は 学年に応じた表現方法や素材の組み合わせ・版の繰り返しなど版表現に工夫がみられる作品であることです。
3点目は 版画特有の白と黒のバランスのよさや、限られた色数の中で表現された色版画や掘り進み版画、丁寧な刷りなど、誠実に制作に取り組まれた作品であることです。
受賞作品はどれも、それぞれのテーマと丁寧に向き合い、自分と対話しながら制作されていることが伝わる作品ばかりでした。
札幌市長賞に選ばれた 南白石小学校 4年 高橋七海さんの作品『絵具をしている自分』は絵を描いている自分の大切な時間が描かれており、線彫りと面彫りを効果的に組み合わせて創作に没頭して取り組んでいる 様子を表現しています。手先に集中している視線、しわを線で表した洋服の立体感など、全体の白と黒のバランスもよく丁寧に木版で表現されました。
札幌市教育長賞 南月寒小学校 3年 鈴木希さんの作品『ふしぎな魚の「とげざかなくん」』は紙版画の柔らかな質感と身近な梱包材をうまく 組み合わせて、魚のうろこの様子と泳ぐ魚のしなやかな様子が表現されています。魚のギザギザの歯や笑っているようなユーモラスな表情も作者が楽しんで表現した様子が伝わってきました。
この2作品の他にも特別賞受賞作品4点と金銀銅賞、入選、合わせて 92点の力作ばかりです。
終りになりますが、日本の伝統である浮世絵木版画は世界でも高い評価を得ており、木版画の表現は世界でも類を見ない日本特有の表現方法です。版表現の楽しさにふれ、これからも版を使った表現活動に親しんでいただければと切に願っています。
札幌市造形教育連盟
福島 由紀子